世の中は腐っている。
ニュースを見ていると、そう思ってしまう瞬間があります。
朝の情報番組をつけても、仕事の休憩中にスマホを開いても、「政治とカネ」という言葉が流れてくる。気づけば何年も前から、同じようなニュースを見ている気がします。
裏金、政治資金、献金、パーティー券、記載漏れ。
名前は変わっても、テーマはあまり変わらない。
もちろん、すべての政治家が不正をしているわけではありません。毎日まじめに活動している人も大勢いるでしょう。それでも、「またか」と思ってしまうのは、あまりにも同じ話を何度も見聞きしてきたからです。
私たちの生活では、数百円のレシートがなくても経費は認められません。
確定申告で収入を書き忘れれば、修正や場合によっては追徴課税の対象になります。
財布を落として中身が一円でも違えば大騒ぎです。
だからこそ、政治のお金の問題が報じられるたびに、多くの人が違和感を覚えるのでしょう。
「自分たちには厳しいのに、政治の世界は違うのか。」
そんな疑問を抱く人がいるのも無理はありません。
最近、大きく報じられたのが政治資金パーティーを巡る問題です。
一部の政治団体では、パーティー券収入の一部が政治資金収支報告書に記載されていなかったことが発覚しました。その後、関係者への捜査や会計責任者の立件、政治家による説明や収支報告書の訂正などが行われ、政治資金制度そのものを見直す議論にも発展しています。
ここで大切なのは、「問題があった」と報じられたことと、「誰がどこまで法的責任を負ったのか」は別の話だということです。
ニュースの見出しだけでは、その違いは意外と伝わりません。
一方で、インターネットを見れば、もっと過激な話が並びます。
「これは氷山の一角だ。」
「どの政党も同じことをしている。」
「企業献金がある限り何も変わらない。」
中には根拠のある指摘もありますが、証拠が示されていない憶測や陰謀論まで混ざっています。
SNSは便利です。
でも、便利だからこそ、事実と推測が同じ速さで拡散されてしまいます。
だから私は、「ニュースで確認された事実」と「ネットで語られている話」は、分けて考えるようにしています。
ここで少しだけ、真面目な話を休憩しましょう。
もし私が税務署へ行って、
「すみません、数百万円ほど記載漏れでした。」
と言ったらどうなるでしょう。
担当者は、たぶん優しい笑顔で席を勧めてくれます。
でも、その笑顔はきっと「お茶でもどうぞ」の笑顔ではありません。
あれは、「今日は長くなりますよ」の笑顔です。
では、本当の問題は何なのでしょうか。
私は「裏金」という言葉そのものではないと思っています。
もっと大きな問題は、「国民が政治のお金の流れを簡単に理解できない仕組み」にあるのではないでしょうか。
政治資金収支報告書は公開されています。
しかし、何百ページもある資料を自分で読み、内容を理解できる人はそう多くありません。
制度が複雑であるほど、関心は薄れます。
関心が薄れれば、チェックする人も減ります。
その結果、問題が起きても「またか」で終わってしまう。
この繰り返しこそが、一番怖いことなのかもしれません。
もちろん、お金の問題は政治だけではありません。
企業にもあります。
自治体にもあります。
学校にもあります。
人が集まり、お金が動けば、不正が起きる可能性はゼロにはなりません。
だから政治家だけを悪者にして終わる話ではないと思います。
むしろ、「権力を持つ人ほど、より高い透明性が求められる」という当たり前のことを、私たちは忘れてはいけないのでしょう。
最後に、一つだけ。
「世の中は腐ってる。」
そう言ってしまえば簡単です。
でも、本当に腐っているのは世の中なのか、それとも問題が起きても数日で忘れてしまう私たちなのか。
その答えは、まだ分かりません。
少なくとも私は、「誰が言ったか」ではなく、「何を根拠に言っているのか」を見続けたいと思っています。
そして来年もまた同じニュースが流れたら、こうつぶやくでしょう。
「日本の四季は、春・夏・秋・冬。そして政治とカネ。」
できれば、この季節だけは、そろそろ終わりにしてほしいものです。
